
競馬には10種類の券種がありますが、今回注目するのは「ワイド」。的中率が高い一方で「稼ぎにくい」とも言われますが、実はワイドはおいしいというのをご存知でしょうか?
筆者もここ10年間で何度もワイドで稼いだ経験があります。
この記事では、ワイドがおいしい理由や筆者が実践してきた買い方を詳しく解説します。ワイドで堅実に稼ぎたい方はぜひ参考にしてください。


ワイドとは?
ワイドは、3着以内に入る2頭の組み合わせを当てる(着順は問わない)馬券です。
発売条件は“出走馬が4頭以上のレース”をとしており、正式名称は「拡大馬番号二連勝複式勝馬投票法」と言います。
的中イメージとしては、「レースの上位3頭の中から2頭を当てる」こと。例えば、5–2–1着で決まった場合、5–2/5–1/2–1の3通りが的中パターンになります。なお、3着が同着になった時の“3着‐3着”の組合せは不的中です(同着時は、JRAのルールに従って確定オッズで処理されます)。
オッズは発売中に変動し、確定時の最終オッズで払戻が計算されます。なお、発売後に出走取消・競走除外が発表された場合、その馬を含むワイドの組合せは返還(購入額の返金)となります。したがって、これに該当する場合は不的中馬券でも捨てないように注意しましょう。
参考:JRA
ワイドの最高配当額
券種 | 歴代最高配当額 | 該当レース |
---|---|---|
単勝 | 5万6,940円 | 福島8R・4歳以上500万下 |
複勝 | 1万8,020円 | 京都5R・3歳未勝利 |
枠連 | 14万9,110円 | 福島4R・3歳未勝利 |
馬連 | 50万2,590円 | 中京3R・3歳未勝利 |
馬単 | 149万8,660円 | 中京3R・3歳未勝利 |
ワイド | 16万620円 | 中山7R・3歳以上1勝クラス |
3連複 | 695万2,600円 | 中京3R・3歳未勝利 |
3連単 | 2,983万2,950円 | 新潟5R・2歳新馬 |
参考:netkeiba
ワイドの歴代最高配当額は、16万620円です。
該当レースは、2022年12月25日の中山競馬場で開催された「3歳以上1勝クラス」。勝馬が12番人気、さらに3着に単勝オッズ512倍の大穴ヴォーグマチネが入ったこともあり、歴代最高額の16万620円を記録しました。
ちなみに同レースの3連単の配当は864万8,760円、3連複で162万3,870円。ワイドは的中条件が緩いこともあり、高額配当が出やすい券種と比べると見劣りしてしまいますが、それでも十分に万馬券が狙える馬券と言えます。
なお、上記表からもわかるように、どの馬券も歴代最高配当額を記録しているレースに重賞(G1等)は1つもありません。ゆえにワイドで万馬券を狙うのであれば、荒れやすく予想が難しい未勝利戦などに注目すると良いでしょう。
ワイドの的中率
レースの出頭数 | ワイドの的中率(理論値) |
---|---|
4頭 | 50.00% |
5頭 | 30.00% |
6頭 | 20.00% |
7頭 | 14.29% |
8頭 | 10.71% |
9頭 | 8.33% |
10頭 | 6.67% |
11頭 | 5.45% |
12頭 | 4.55% |
13頭 | 3.85% |
14頭 | 3.30% |
15頭 | 2.86% |
16頭 | 2.50% |
17頭 | 2.21% |
18頭 | 1.96% |
※上記は、JRAにおけるワイドの定義を元に二項係数で割り出した理論値です。
ワイドの的中率に関して、JRAは具体的な数値を公開していません。出典や集計方法の記載なしで的中率を公開しているサイトにご注意ください。
出走数で確率は変動しますが、フルゲート(18頭)の場合、ワイドの的中率は1.96%です。
ワイドの最高配当額を目にした人の中には夢が膨らんだ方もいるかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。ただし、似たような的中条件の券種である馬連は約0.65%、3連複は約0.12%です。
1%前後を誤差と捉えるかは人によりますが、理論上はワイドの方が当たりやすいことは事実と言って良いでしょう。
ワイドの平均配当
券種 | 配当の平均 | 配当の中央値 |
---|---|---|
単勝 | 1,038円 | 490円 |
複勝 | 359円 | 210円 |
馬単 | 11,821円 | 1,910円 |
馬連 | 5,869円 | 3,650円 |
ワイド | 1,968円 | 850円 |
3連複 | 23,884円 | 5,400円 |
3連単 | 151,676円 | 30,510円 |
※対象:2005年~2020年1月まで約48,600レース / 出典:まったり観戦・予想・回顧
実際にいくら稼げるのかが重要かと思います。ワイドの平均配当は1,968円、中央値で850円です。
どちらの数値が正しいかと言うと、中央値の850円の方です。どの券種にも言えますが、レアケースの超高額万馬券によって平均値が引き上げられてしまうため、“よく出る配当額”という意味では中央値の方が適性な金額になります。
理論上は8点(1点100円×8=800円)購入しても利益が出ますが、堅いレースでは低配当またはトリガミのリスクも考えられます。ゆえにワイドの的中条件の緩さを利用し、なおかつ高配当を狙うのであれば、先ほども言ったように荒れやすい未勝利戦などに参加するのがおすすめです。
ワイドがおいしい・最強と言われる理由
ネットでは「ワイドがおいしい、最強」という声が見られますが、その理由は主に下記が挙げられます。
- 的中率が高く収支が安定しやすい
- 点数を抑えやすい
- 穴馬を絡めやすい
- 「軸+相手」で当たり目を増やせる
- 本命ラインの「保険」として効く
的中率が高く収支が安定しやすい
ワイドは「3着以内に入る2頭」を順不同で当てる券種のため、同じ1点買いでも馬連や3連複より当たりやすいのが強みです。
前述のとおり、フルゲート(18頭)の的中率は、ワイドで約1.96%、馬連で約0.65%、3連複で約0.12%です。その分低配当になりやすいものの、レースによっては馬連より高い払戻となるケースもあります。
例えば、2023年のジャパンカップでは、上位2頭が1・2番人気、3着は7番人気という堅めのレース結果でしたが、上記画像のように“ワイド1-17の方が馬連や馬単よりも高い”払戻になっています。
競馬においてマイナス収支を避けるには、買い目の組み立てと資金配分が成否を分けますが、ワイドは当たり頻度が高いため、収支も安定させやすい券種と言えます。
点数を抑えやすい
ワイドは「3着以内の2頭を選ぶだけ」というシンプルなルールのため、過剰な点数を購入する必要がなく、自然と点数を抑えられます。
「点数を絞ると外れやすいのでは?」と思うかもしれませんが、競馬において大切なのは的中率よりも回収率です。いくら的中率が高くても、毎回トリガミでは意味がありません。
そのため、過去の戦績やコース傾向、展開予想を分析し、選定する馬を絞ることが重要。そして、効率よくプラス収支を狙うには5点以内に絞るのが基本です。
以下の記事では、ワイド2点買いで収益を上げる具体的な方法を解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
穴馬を絡めやすい
ワイドは穴馬を絡めることで高配当を狙えるのが魅力です。
「1番人気×2番人気」のような人気馬同士では配当が低くなりがちなため、「1番人気×12番人気」といったように穴馬を絡めることでうまみが増します。とはいえ、闇雲に穴馬を馬券に絡めても的中するわけではないので、勝負するレースを見極める必要があります。
ワイドにおける勝負レースのポイントは2つ。
1つは、少頭数レースへの参加。単純に的中率が高かまるため、ワイドに限らず出頭数が少ないレースは勝負する価値があります。もう1つは、1頭の実力が抜けているレース。実力馬を軸にし、相手には穴馬を選ぶことで効率よく買い目を決められます。過小評価されている馬がいれば、特に狙い目です。
「軸+相手」で当たり目を増やせる
特に1頭の実力が抜けているレースにおいて、ワイドは「軸1頭+相手複数」の組み合わせにすることで、期待値を高めた状態で最大3通りの的中パターンが作れます。
軸には信頼できる馬を据え、相手は展開や適性が合う馬、穴馬に広げるのが基本です。ただし、点数を増やしすぎると1点あたりが薄まるため、広げる際は1点あたりの金額が極端に小さくならないよう配分を調整しましょう。
なお、競馬の分析に慣れている、あるいは競馬予想サイト等を使っている場合は「穴馬×穴馬」という組み合わせへの挑戦も大いにありです。
ワイドの最高配当額レース以外の例として、2017年12月3日の中京競馬場7R「サラ系3歳以上500万円以下」では、上位3頭が15番人気・6番人気・14番人気という大波乱がおき、ワイドの配当も12万9,000円と高額万馬券を出しています。
本命ラインの「保険」として効く
馬連や3連複を本命ラインに据える際、同じ軸でワイドを添えれば保険として効く場合があります。
本命ラインの馬連や3連複が惜しくも順序や1頭違いで外れても、ワイドは軸と相手が3着以内に入れば一部回収できるため、収支ダメージを幾分和らげることができます。
もちろん保険を厚くしすぎては意味がないため、配分比率(例:本命70%・ワイド30%など)をあらかじめルール化し、少しずつ調整していくと良いでしょう。
ワイドの流し・フォーメーション・ボックスの使い分けと買い方
ワイドはおいしい馬券ですが、私の経験上ただ何も考えずに馬券を購入するだけでは対して稼ぐことはできません。
ここでは「流し」「フォーメーション」「ボックス」の使い分けの説明も含め、上手な買い方を解説していきます。
ワイド流し
「ワイド流し」は、本命となる軸馬から数頭の相手を組み合わせる買い方です。
注意点としては、軸馬が3着以内に入らないと不的中になるため、軸馬は慎重に選ばなければいけません。基本的には上位人気を軸にし、中穴〜穴馬を相手に選ぶのが一般的です。
とはいえ、1番人気が絡むと配当が下がるため、あえて外した組み合わせにするのも有効です。以下の記事では、ワイド流しの攻略法を細かく解説していますので詳しく知りたい人は併せてご覧ください。
ワイドフォーメーション
「ワイドフォーメーション」は、軸を複数選びたい時に使います。
注意点としては、「流し」に比べて的中率を高めやすいものの、その反面点数も増えてしまう点。とはいえ、組み合わせを絞ればその問題は解消されます。
フォーメンションは分析力が求められるため、競馬新聞や競馬予想サイトなどの情報を活用し、組み合わせを決めていきましょう。
ワイドフォーメーションの組み合わせの計算方法や買い方のコツについても詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ併せてご覧ください。
ワイドボックス
「ワイドボックス」は、3着以内に入る馬の組み合わせをすべて購入する券種です。
仮に①②③④番の4頭を選んだ場合、「1-2」「1-3」「1-4」「2-3」「2-4」「3-4」の6通りの買い目で購入することになります。
購入点数は増えてしまいますが、人気薄の馬が好走しそうであれば効果的。結果次第ではトリプル的中を獲得できるので、思わぬ配当を得られる可能性もあります。
ただし、プラス収支を狙うのであれば「いかに人気薄を絡めるか」がポイントです。上位人気で決着するとトリガミで終わりやすいので、勝負するレースを見極めなければいけません。
ちなみに、ワイドボックスは「ワイドの中で最も最強の買い方だ」と言われています。以下の記事では、ワイドボックスで競馬を攻略するための方法について詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
ワイドを購入する際の注意点
ワイドはおいしさがある一方で、購入する際の注意点もあります。
ここでは、実際に筆者がこれまでワイドで失敗してきた経験を踏まえ、誰もがやってしまいがちなミス、それを回避する上での注意点を解説していきます。具体的には、次の3つです。
- 高額配当は狙って出せるものではない
- トリガミのリスクがある
- 中穴〜穴馬を絡めてこそ意味がある
高額配当は狙って出せるものではない
ワイドは当てやすい馬券ですが、その分払戻金はそれほど高くなりません。
もちろん万馬券が出るようなレースもありますが、どれも予想の難しい大荒れレースです。ゆえに穴馬を当てるための分析能力は必須。経験が浅いのであれば、最低でも競馬新聞を読めるようにしたり、競馬予想サイトの活用といった別のアプローチが必要になります。
いずれにしても、ワイドで勝負する際は地道にコツコツ勝ち続けるのが基本です。特に初心者の方はいきなり大勝ちを狙うのではなく、まずは当てることから感覚を掴んでいきましょう。
トリガミのリスクがある
ワイドは買い方を間違えると、トリガミのリスクが高まります。
例えば、ワイドボックスで購入する場合、4頭の馬を選ぶことになります。この際、4頭を1〜4番人気の人気馬で固めてしまっては的中したとしても払戻が低く、トリガミ(回収率が100%を下回る)になる可能性が高まります。
まず、ワイドの平均配当の中央値は850円ほど、これを念頭に置かなければいけません。ボックスは6点買いとなるため、最低でも1点100円で購入額は600円かかります。
トリガミ回避には250円以上を稼ぐ必要があるため、組み合わせを考える際は各馬のオッズを確認し、的中した時の配当額がこれを上回るように考慮しましょう。
中穴〜穴馬を絡めてこそ意味がある
ワイドでおいしい配当を狙うなら、中穴〜穴馬を買い目に絡める必要があります。
繰り返しますが、ワイドにおいて高額万馬券となっているのは基本的に「穴馬×穴馬」の組み合わせです。ただし、予想には相当な目を必要とするため、「軸馬×穴馬」の組み合わせが堅実かつ現実的です。
軸馬を決める際は、最低でもそのレースの傾向を調べましょう。例えば「安田記念」では1番人気の3着内率は80%、「スプリンターズS」では1番人気の複勝率60%、3番人気50%といった傾向が出ています。
一方で、穴馬を当てることは容易なことではありません。その馬のレース傾向や戦績、血統特性、調教内容など様々な情報を分析する必要があり、さらに天候といった変数要素もレース結果に影響します。ゆえに初心者の方は、“まずは当てる感覚を掴み、ワイドに慣れる”。これが重要です。
いずれにしても各種情報や分析を踏まえて軸馬を決め、そして中位人気・穴に流す。またはボックスで組み合わせると、配当と的中のバランスを取りやすくなります。「ローマは一日にして成らず」という感覚を忘れず、少しずつワイドを攻略していきましょう。
まとめ
ワイドはローリスク・ローリターンで堅く勝負する際にはもってこいの券種です。
「払戻が少ないから一攫千金を狙いにくそう」と思うかもしれませんが、レースの結果次第では想像以上においしい払戻も期待できます。
ポイントは点数を絞り、穴馬をうまく絡めること。上位人気での決着はトリガミになりやすいので、レースを見極めてワイドで勝負しましょう。自力で見抜くのが難しい場合は、競馬予想サイトなどを活用するのも1つですので、興味があれば基本無料なのでお試し感覚でチェックしてみてください。

1969年デイリースポーツ入社。その後、専門誌・馬三郎にて本紙予想担当。50年越えの競馬記者人生を通して、競馬予想界の大御所と言われるほどに。