「オッズ断層」という言葉をご存じでしょうか。
オッズ断層とは、馬券を購入する上で必要な言葉ではありません。
そのため、競馬初心者のみならず、長く競馬に触れている人でも知らないという方は多いです。
しかし、オッズ断層を使った予想方法も存在しています。
断層を駆使して馬券収支を向上させている人も世の中にはいるのです。
そこで、今回は「オッズ断層」について解説します。
オッズ断層について勉強したいという方はぜひ最後までご閲覧ください。
競馬におけるオッズ理論とは?
オッズ理論とは「オッズのみを判断材料にした予想方法」のことです。
競馬予想で欠かせない過去のレース情報や展開、血統や騎手などのファクターは一切排除しているのが特徴です。
オッズさえ確認できれば競馬新聞や競馬ソフトといった予想ツールは一切不要なので、シンプルな予想方法といえます。
実際に、多点買いで購入する際、人気している馬は一応抑えておこうというケースは珍しくありません。
人気している馬とはオッズが低い馬でオッズを参考にしていることから、このケースもオッズ理論といえるでしょう。
そもそも、オッズは全国の馬券購入者の支持の割合で決まります。
支持の多い馬(=人気馬)ほど好走する根拠が存在しているのでオッズを見ながら馬券購入するのは悪くありません。
ただし、オッズ理論だけで利益を上げることは難しいです。
なぜなら、オッズ理論が成立していたら今頃たくさんの人が競馬で稼いでいるはずです。
競馬で利益を上げるのは簡単なことではありません。
大口投票とオッズ理論の関係
「大口投票」とは、一度の投票で多額の投票が入ったことを指します。
定義はありませんが、1回の投票で100万円以上はいった場合は大口投票といえるでしょう。
大口投票を行うには多額の資金が必要なので、一般人で行うことはほぼ不可能です。
どういう人が行っているかというと、たくさんの資産を持っている馬主(オーナー)や、馬券を生業にしている馬券投資家です。
そして、大口投票が入るとオッズは大きく変動し、この現象を「異常オッズ」といいます。
そもそも、競馬のオッズとは全体の馬券投票の支持の割合で決まります。
投票が多いほどオッズは下がり、逆も然りとなるのです。
例えば、全体の単勝オッズの売上が10億のレースで、全く人気のない馬に単勝オッズ5億の投票が入ったら、その馬は瞬時に人気になります。
多額の資金が入った馬=勝つ可能性が高いため、つい便乗して馬券を買いたくなります。
しかし、馬主が大口投票するケースは純粋に所有する馬に勝ってほしく、応援馬券の意味が強いので参考にしづらいです。
馬券投資家の予想のほうが信頼しやすいですが、その大口投票を誰が行ったのか、オッズ上では判断できません。
異常オッズ=オッズが小さくなることなので、妙味も少なくなることから、異常オッズをアテにして収支を向上させることは、意外と難しいのです。
オッズ理論に欠かせない「オッズ断層」という考え方
オッズ断層とは、「人気順に並べた際、前後の倍率差が断層のように大きい箇所」を指しています。
例えば、下記のレースの人気を見てください。
(参考:単勝・複勝オッズ(人気順)2024年6月23日(日曜)4回京都8日 11レース)
こちらは、2024年6月23日に開催された宝塚記念(G1)の出走馬を人気別にまとめたものです。
オッズの断層が発生している箇所を赤枠でまとめたものが下記になります。
(参考:単勝・複勝オッズ(人気順)2024年6月23日(日曜)4回京都8日 11レース)
単勝オッズに大きな差がある箇所がオッズ断層となります。
この宝塚記念においては、6つの断層が見つかり、7つのグループにまとめることができました。
グループに分けることで、馬のポテンシャルを判断しやすくなります。
断層を見抜くことで馬の強弱を分かりやすくできるのがオッズ断層の特徴といえるでしょう。
オッズ断層が生じる理由
オッズ断層が発生する最大の理由は「大口投票」にあります。
オッズは全体の馬券投票の支持で決まるため、極端に投票が集中することで馬同士のオッズに差が生じてしまうのです。
逆にいうと、投票が平均的に分散している場合はオッズ断層は生じにくいです。
例えば、1番人気にも関わらず、単勝オッズが3倍や4倍ついているレースは、2番人気以降も近いオッズです。
どの馬にも勝つ可能性がある場合は投票が分散するため、このようなオッズ傾向になります。
(参考:単勝・複勝オッズ(人気順)2023年5月7日(日曜)2回東京6日 11レース)
上記の画像は2023年のNHKマイルカップの最終オッズです。
1番人気のカルロヴェローチェの単勝オッズは5.7倍もありました。
また、6番人気のダノンタッチダウンまで、オッズに差がなかったです。
このNHKマイルカップのように、上位勢のオッズが拮抗しているケースでは断層は発生しません。
ちなみに、投票が分散するケースは、ハンデ戦やローカル競馬場の重賞競走でよくみられます。
オッズ断層を見つけて勝負する方法
オッズ断層は馬の強弱を見抜くのに役立ちます。
そのため、時間を多く確保できるのであれば、オッズ断層を見つけながら予想するのも醍醐味といえるでしょう。
ここからは、オッズ断層を見つけて勝負する方法を下記の手順で解説するのでぜひ実践してください。
- 単勝・複勝オッズを確認
- 期待値の高い馬を調べる
- 他候補と組み合わせて馬券購入
単勝・複勝オッズを確認する
オッズ断層はオッズを確認しなければ調べることができません。
そこで、最初に単勝・複勝オッズを確認します。
(参考:単勝・複勝オッズ(人気順)2024年6月23日(日曜)4回京都8日 11レース)
上記の画像は前章で使用した2024年の宝塚記念の出馬表を人気別にまとめたものです。
人気順にまとめたほうがオッズ断層を見抜きやすいので、必ず人気順に並べましょう。
期待値の高い馬を調べる
人気順にオッズを確認出来たら、次に期待値の高い馬を探していきましょう。
2024年宝塚記念のオッズで注目したいのが7番人気のソールオリエンスと8番人気のシュトルーヴェ&ディープボンドの間です。
この間には単勝オッズ10倍近い断層がありました。
ソールオリエンスより上の馬を好走の期待値が高い馬とした場合、馬券予想は上位7頭で絞ることが可能となります。
予想を絞ることで組み合わせ数を大いに削減でき、小数点買いしやすくなりました。
候補馬を組み合わせて馬券を買う
競馬で人気のない馬が馬券に絡む可能性は意外と高いです。
そのため、上位人気馬で絞るよりも、中位人気馬や下位人気馬も織り交ぜたほうが馬券妙味も高まります。
2024年の宝塚記念の上位グループ、1~7番人気馬単勝オッズを下記の通りまとめました。
人気 | 馬名 | 単勝オッズ | 断層グループ |
1番人気 | ドウデュース | 2.3倍 | A |
2番人気 | ジャスティンパレス | 3.7倍 | |
3番人気 | ブローザホーン | 7.5倍 | B |
4番人気 | ローシャムパーク | 10.5倍 | C |
5番人気 | ベラジオオペラ | 11.6倍 | |
6番人気 | プラダリア | 15.1倍 | D |
7番人気 | ソールオリエンス | 16.9倍 |
上記のオッズを見てみると、ジャスティンパレスとブローザホーンの間と、ブローザホーンとローシャムパークの間に断層があります。
また、ベラジオオペラとプラダリアの間にも断層が確認でき、上位人気7頭だけで4つのグループに分けることができました。
グループAのドウデュースやジャスティンパレスはG1馬ですし、近走の成績も良いです。
そのため、まとめて買いたいところですが組み合わせたところオッズ妙味は小さかったです。
そこで、断層の垣根を越え、他の組み合わせで購入するとどうなるでしょうか。
こちらの宝塚記念のレース結果は下記の通りとなりました。
1着 ⑫ブローザホーン 3番人気 グループB
2着 ⑨ソールオリエンス 7番人気 グループD 3着 ③ベラジオオペラ 5番人気 グループC 払い戻し 馬連 4,890円 三連複 16,020円 三連単 91,680円 |
グループBのブローザホーンが優勝、2着にはグループDのソールオリエンスが、3着にはグループCのプラダリアが入線しています。
グループAの2頭がそろって着外に沈んだ影響もありますが、上位7頭の馬で決まった割に配当妙味は高くなりました。
断層で振り分けた際、グループ上位だけではなく、他グループの馬を組み合わせることで高配当に期待できるのです。
オッズ断層を見つけるメリット・デメリット
オッズ断層は使い勝手が良いですが、メリットとデメリットが存在しています。
どのようなメリットとデメリットが存在しているか、解説します。
メリットはデータ分析が不要になること
オッズ断層の起源といえるオッズ理論は、「オッズを判断材料」にした予想方法です。
予想材料が一つしかないうえ、データを分析しなくても予想することができるため、予想に割く時間を大幅にカットできます。
また、難しい予想分析が不要なので、オッズ断層は初心者でも簡単に行うことができます。
そして、オッズ断層では出走馬の能力の差をオッズを通して確認でき、しかも、買い目を抑えることもできます。
手軽で誰でも行える上、理にも適っているのがオッズ断層の最大のメリットといえるでしょう。
デメリットはレース直前まで確認が必要なこと
オッズ断層は非常に便利ですが、肝心のオッズは投票締め切りまで変動し続けています。
締切までの間には、異常オッズが発生したり、直前の大口投票で人気がガラリと変わるケースも珍しくありません。
オッズ断層で予想する際は、常にオッズに目を配り、できるだけ締切直前で馬券購入したほうがよいです。
オッズ断層は難しい予想ツールは不要ですが、付きっ切りになりがちなので、時間が縛られてしまうデメリットがあります。
当たらない?オッズ断層で勝負するのが危険な理由
オッズ断層で予想するのは危険と考えている人も少なくありません。
どうしてオッズ断層は危険なのでしょうか。
本章では、オッズ断層で勝負することが危険な理由を2つ紹介します。
競馬はブラッドスポーツだから
競馬はブラッドスポーツと呼ばれています。
ブラッドスポーツは直訳すると「血のスポーツ」です。
競馬の主役ともいえるサラブレッドは両親の特徴を引き継ぎやすい生き物です。
そのため、「血統」という予想概念が競馬に与える影響は大きく、血統を軸にした予想家もいます。
血統予想の最大の強みは、父方や母の父の特徴から、コースや展開、馬場適性を求められることです。
オッズ断層ではこのような適性は読めませんが、競馬において適性を見抜くことは非常に大切です。
オッズ断層は予想ファクターとしては血統予想に見劣るケースが多いのです。
競馬に絶対はないから
オッズ断層が危険なもうひとつの理由は「競馬に絶対はないから」です。
競馬はどんなに強い馬でもサラブレッドという生き物が主役である以上、その日のコンディション次第であっさり崩れることは多々あります。
例えば、ものすごく強い馬でもその日暑くて走りたくない場合や、体調不良、気分が乗らない場合はあっさり凡走します。
オッズ断層は、馬の状態を度外視していますが、当日の馬のコンディションは非常に重要です。
そのため、オッズ断層のみ信じて購入することはリスクが大きい買い方といえるのです。
まとめ
オッズ断層は競走馬の強弱をグループ化できるうえ、予想に割く時間もカットできます。
また、難しい知識も不要なので誰でも気軽に行えるのが強みです。
ただし、オッズ断層だけ鵜呑みにして予想するのはツールとして聊か弱いです。
時間をかけて分析した予想のほうが説得性は増します。
オッズ断層は便利ですが、それだけで勝ち続けるのは難しいです。
予想の一貫として活用しながら、データ分析を行うのがよいでしょう。